“カルチャーに精通する”とは、言い換えると“知的欲求を追及する”ことなのかもしれない。物事の理解を深める作業は、新たな視点を持ち、より深い愛情を抱く上で避けては通れないプロセスなのだ。
新進気鋭のブランド背景を紐解く「UNION」の編集企画のひとつ、“Brand Features”の最新回は、国内外で急速にシェアを拡大する「ECOCYCLE®︎(エコサイクル)」のジェイコブ・デイテルに、彼らのブランドにまつわるエピソードを尋ねた。
「UNION」のオーナー、クリス・ギブスとも親交の深いジェイコブは、地球環境に配慮した生産力と、ストリートウェアへ対するリスペクトによってシーンから厚い信頼を獲得し、「UNION」のほか、「Stussy」や「Awake」をはじめとするトップアカウントにもボディを提供している。
ーまずは、ジェイコブから日本の「UNION」ファミリーに自己紹介をお願いします。
「ECOCYCLE®︎」と「US Standard Apparel」の社長兼共同創業者のジェイコブ・デイテルです。もっとカッコよく言いたいところだけど、僕は昔からストリートウェアに深く惹かれていて、若い頃のお気に入りを挙げるのであれば「Stussy」、「BAPE®︎」、「visvim」とかかな。2017年に「000」というブランドを立ち上げて、洋服を製造する過程で生産のノウハウを養った。「US Standard Apparel」は、「Awake」や「Born X Raised」、「UNION」といったブランドから生産のサポートを依頼されて立ち上げることにしたんだ。
ー共同創設者のショーンは、米国内のトップアカウントにも生地を提供してきたプロフェッショナルと聞きました。
そう、ショーンは僕との共同創設者で、ここロサンゼルスで30年以上、テキスタイルの加工をしてきた。彼の品質へのこだわりや、製品の背景にある一貫性と永続性は、僕らが何よりも重んじている根本的な価値観に通じているんだ。
ー「ECOCYCLE®︎」について教えてください。現在は再生繊維の開発がさかんに行われていますが、「ECOCYCLE®︎」にはどのような特徴があるのでしょうか?
「ECOCYCLE®︎」は50%リサイクルコットン、50%がサステナブルコットンでできている。ショーンが何年もかけて開発した糸なんだ。100%リサイクルコットンの糸は、見方を変えると、すべて再加工されたものだということは分かるよね? その結果、繊維は脆くなっていて、結果としてダメージを受けると穴が空いたり、破れやすい特性がある。「ECOCYCLE®︎」はリサイクル糸とサステナブルな超長綿の糸を紡ぐことで、リサイクル生地の特徴とユニークさと共に、従来の糸の強度と一貫性を兼ね備えているんだよ。
ー米国内ではなく、スペインの「Belda Lloréns」とパートナーシップを提携しているのはなぜですか?
現在はスペインの「Belda」のみならず、インドの「EDPA」という会社とも提携している。この2社は、リサイクルおよびサステナブル糸を提供するリーディングカンパニー。アメリカには、彼らのような大規模なオプションがまだ存在しないから、今後は輸送時間短縮のためにも国内での提携も視野に入れているよ。
ー「ECOCYCLE®︎」のサステナブルコットンは、NGO団体「The Better Cotton Initiative( BCI)」の承認を受けていますよね。使用しているBCIコットンは、他のコットンと比較してどのようなメリットや環境への貢献があるのでしょうか?
BCIコットンは簡潔に説明すると、肥料や農薬の使用が少なく、土壌の健康や水資源、生物多様性に配慮した方法で栽培・収穫されたものに与えられるんだ。
ージェイコブは「UNION」のクリスとも長年の友人関係にあるんですよね。クリスとの出会いや印象深いエピソード、「US Standard Apparel」創業後の彼との関係について教えてもらえますか?
クリスと僕は、2000年代初頭に「UNION LOS ANGELES」で出会い、それ以来の友人。僕がファッションと衣料品製造に携わる上で、彼は大きな役割を担ってくれた。いつもサポートしてくれて、彼の情報に基づく優れた視点は僕にとってかけがえのないものだよ。この仕事から8年ほど離れていて久しぶりにLAに戻って、最初に向かったのが「UNION LOS ANGELES」。買い物を楽しんだね。クリスは僕を快く迎えてくれて、僕の人生の目標がファッション産業の一部になることだと気づかせてくれた恩人だよ。
ー「ECOCYCLE®︎」は、僕ら「UNION」以外にも「Stüssy」や「Awake NY」をはじめとするストリートブランドにもボディを提供しています。ボディを変更した彼らからはどのようなフィードバックをもらっていますか?
いい質問だね。面白いことに「ECOCYCLE®︎」を使用するブランドのほとんどが、持続可能というメリットを謳っていないですね。僕らのパートナーは、僕らが作る洋服の品質とフィット感に魅力を感じて「ECOCYCLE®︎」を選んでくれている。提携しているブランドのほとんどが、僕が尊敬している人たちだから、彼らからの信頼と信用を得られたことをとても幸せに思っているよ。
ー繊維産業の環境負荷は、世界トップクラスです。「ECOCYCLE®︎」はその負のサイクルに待ったをかけるメーカーの一社ですが、もし全てのアパレルメーカーのボディが「ECOCYCLE®︎」になった場合、どのような未来が待っていると思いますか?
大量生産で衣類を生産する場合、低コストでの輸入品が一般的だけど、もしもすべてのブランドが「ECOCYCLE®︎」を採用したら、全体的な価格上昇は現状では避けられないだろうね。でも、「ECOCYCLE®︎」をはじめとする「US Standard Apparel」の製品は、長年にわたって愛用できるような作りなので、消費者は相対的に洋服を購入する機会が少なくて済むはずだよ。ファストファッションは地球を破壊している。「US Standard Apparel」が取り組むことと真逆のことをしているんだ。
ー「ECOCYCLE®︎」および「US Standard Apparel」のビジョンや夢を教えてください。
「US Standard Apparel」では最近、社内でレーザーカッティングの設備を導入して、自動化に多額の投資をしているんだ。「US Standard Apparel」は2024年末までに、縫製から出荷まで垂直統合する予定。僕らは北米で最も先進的なフルパッケージのニット機関を建設するつもりだよ。
ー最後に、我々消費者がファッションを通して環境問題へ貢献するために、今日からできることはありますか?
長持ちする質の高い商品を購入することだね。僕はそのためのいいオプションを知っているよ(笑)
“カルチャーに精通する”とは、言い換えると“知的欲求を追及する”ことなのかもしれない。物事の理解を深める作業は、新たな視点を持ち、より深い愛情を抱く上で避けては通れないプロセスなのだ。
新進気鋭のブランド背景を紐解く「UNION」の編集企画のひとつ、“Brand Features”の最新回は、国内外で急速にシェアを拡大する「ECOCYCLE®︎(エコサイクル)」のジェイコブ・デイテルに、彼らのブランドにまつわるエピソードを尋ねた。
「UNION」のオーナー、クリス・ギブスとも親交の深いジェイコブは、地球環境に配慮した生産力と、ストリートウェアへ対するリスペクトによってシーンから厚い信頼を獲得し、「UNION」のほか、「Stussy」や「Awake」をはじめとするトップアカウントにもボディを提供している。
ーまずは、ジェイコブから日本の「UNION」ファミリーに自己紹介をお願いします。
「ECOCYCLE®︎」と「US Standard Apparel」の社長兼共同創業者のジェイコブ・デイテルです。もっとカッコよく言いたいところだけど、僕は昔からストリートウェアに深く惹かれていて、若い頃のお気に入りを挙げるのであれば「Stussy」、「BAPE®︎」、「visvim」とかかな。2017年に「000」というブランドを立ち上げて、洋服を製造する過程で生産のノウハウを養った。「US Standard Apparel」は、「Awake」や「Born X Raised」、「UNION」といったブランドから生産のサポートを依頼されて立ち上げることにしたんだ。
ー共同創設者のショーンは、米国内のトップアカウントにも生地を提供してきたプロフェッショナルと聞きました。
そう、ショーンは僕との共同創設者で、ここロサンゼルスで30年以上、テキスタイルの加工をしてきた。彼の品質へのこだわりや、製品の背景にある一貫性と永続性は、僕らが何よりも重んじている根本的な価値観に通じているんだ。
ー「ECOCYCLE®︎」について教えてください。現在は再生繊維の開発がさかんに行われていますが、「ECOCYCLE®︎」にはどのような特徴があるのでしょうか?
「ECOCYCLE®︎」は50%リサイクルコットン、50%がサステナブルコットンでできている。ショーンが何年もかけて開発した糸なんだ。100%リサイクルコットンの糸は、見方を変えると、すべて再加工されたものだということは分かるよね? その結果、繊維は脆くなっていて、結果としてダメージを受けると穴が空いたり、破れやすい特性がある。「ECOCYCLE®︎」はリサイクル糸とサステナブルな超長綿の糸を紡ぐことで、リサイクル生地の特徴とユニークさと共に、従来の糸の強度と一貫性を兼ね備えているんだよ。
ー米国内ではなく、スペインの「Belda Lloréns」とパートナーシップを提携しているのはなぜですか?
現在はスペインの「Belda」のみならず、インドの「EDPA」という会社とも提携している。この2社は、リサイクルおよびサステナブル糸を提供するリーディングカンパニー。アメリカには、彼らのような大規模なオプションがまだ存在しないから、今後は輸送時間短縮のためにも国内での提携も視野に入れているよ。
ー「ECOCYCLE®︎」のサステナブルコットンは、NGO団体「The Better Cotton Initiative( BCI)」の承認を受けていますよね。使用しているBCIコットンは、他のコットンと比較してどのようなメリットや環境への貢献があるのでしょうか?
BCIコットンは簡潔に説明すると、肥料や農薬の使用が少なく、土壌の健康や水資源、生物多様性に配慮した方法で栽培・収穫されたものに与えられるんだ。
ージェイコブは「UNION」のクリスとも長年の友人関係にあるんですよね。クリスとの出会いや印象深いエピソード、「US Standard Apparel」創業後の彼との関係について教えてもらえますか?
クリスと僕は、2000年代初頭に「UNION LOS ANGELES」で出会い、それ以来の友人。僕がファッションと衣料品製造に携わる上で、彼は大きな役割を担ってくれた。いつもサポートしてくれて、彼の情報に基づく優れた視点は僕にとってかけがえのないものだよ。この仕事から8年ほど離れていて久しぶりにLAに戻って、最初に向かったのが「UNION LOS ANGELES」。買い物を楽しんだね。クリスは僕を快く迎えてくれて、僕の人生の目標がファッション産業の一部になることだと気づかせてくれた恩人だよ。
ー「ECOCYCLE®︎」は、僕ら「UNION」以外にも「Stüssy」や「Awake NY」をはじめとするストリートブランドにもボディを提供しています。ボディを変更した彼らからはどのようなフィードバックをもらっていますか?
いい質問だね。面白いことに「ECOCYCLE®︎」を使用するブランドのほとんどが、持続可能というメリットを謳っていないですね。僕らのパートナーは、僕らが作る洋服の品質とフィット感に魅力を感じて「ECOCYCLE®︎」を選んでくれている。提携しているブランドのほとんどが、僕が尊敬している人たちだから、彼らからの信頼と信用を得られたことをとても幸せに思っているよ。
ー繊維産業の環境負荷は、世界トップクラスです。「ECOCYCLE®︎」はその負のサイクルに待ったをかけるメーカーの一社ですが、もし全てのアパレルメーカーのボディが「ECOCYCLE®︎」になった場合、どのような未来が待っていると思いますか?
大量生産で衣類を生産する場合、低コストでの輸入品が一般的だけど、もしもすべてのブランドが「ECOCYCLE®︎」を採用したら、全体的な価格上昇は現状では避けられないだろうね。でも、「ECOCYCLE®︎」をはじめとする「US Standard Apparel」の製品は、長年にわたって愛用できるような作りなので、消費者は相対的に洋服を購入する機会が少なくて済むはずだよ。ファストファッションは地球を破壊している。「US Standard Apparel」が取り組むことと真逆のことをしているんだ。
ー「ECOCYCLE®︎」および「US Standard Apparel」のビジョンや夢を教えてください。
「US Standard Apparel」では最近、社内でレーザーカッティングの設備を導入して、自動化に多額の投資をしているんだ。「US Standard Apparel」は2024年末までに、縫製から出荷まで垂直統合する予定。僕らは北米で最も先進的なフルパッケージのニット機関を建設するつもりだよ。
ー最後に、我々消費者がファッションを通して環境問題へ貢献するために、今日からできることはありますか?
長持ちする質の高い商品を購入することだね。僕はそのためのいいオプションを知っているよ(笑)