LAを拠点に活動するクリエイティブコンソーシアム、Real Bad Manを主宰し、UNIONのアートディレクションや自身ブランドのアパレルデザインも行うADAM WEISSMAN。CHRISとの関係や30周年を記念するコラボプロダクトについて話を聞いた。
― まずは自己紹介と自身のキャリアを教えてください。
ADAM WEISSMANです。色々なことをやっていますが、主には、幾つかのブランドのクリエイティブとアートディレクションを行っていて、UNIONもその中のひとつ。LAにあるCHAMP!というクリエイティブエージェンシーを通して、パートナーであるJESSE LEYVAと共に、様々なプロジェクトに関わっています(R&BのJULAREEもCHAMP!のパートナーです)。加えて、NOAH BUTKUSとROMEO TRINIDADと共同で、Real Bad Manというアパレルブランドも運営しています。またここ数年は音楽制作も再開し、Real Bad Manというラップアルバムも出しました。SPOTIFYやAPPLE MUSIC、TIDALで聴くことができるので、良かったらチェックしてみてください。ちなみに自分はラップは歌っていませんが、ビートメイカーとして参加しています。
ーどんな青春時代を過ごして育ち、どのようにストリートカルチャーに関わってきたのか教えてください。
常に音楽に囲まれながら、特にラップミュージックとともに成長しました。90年代前半は、ラップというとまだアンダーグラウンドでフレッシュな音楽でしたが、そこに引き込まれたことで、ファッションやスタイル、アート、音楽制作、DJなど、多くのことを学びましたね。それと映画やカメラにもハマり、高校時代にはALCHEMIST主催で自主制作映像を公開したりもしました。あとはなんといってもファッション。中でもSTÜSSYが大好きで、私が学生時代はまだ売られてる場所も限られていましたが、どこに行けば手に入るのか必死で探し回り、ほぼ全ての取り扱いショップを網羅していたと思います。当時は、今のようにHYPEBEASTやCOMPLEXなどのメディアもありませんでしたから、とにかく自分の足を使ってショップを見つけ、好きなモノにたどり着くしかない時代。だからこそ、新しいモノを発見した時の驚きやドキドキは格別でしたね。
ー1989年にNYのSOHOで一号店がオープン、2年後の91年にはLA店がオープンしました。UNIONに初めて出会ったのはいつ頃でしたか?
最初にUNIONと出会ったのは、STÜSSY UNIONがLAにオープンした初日か2日目でした。LA BREA通りにSTÜSSYの店ができると聞いて、場所を探し出し、親に連れて行ってもらいましたね。そこでEDDIE(CRUZ)を始めとするクルーと出会い、結果、自分もショップスタッフとして働くことに。ラップに詳しい若手として仲間に加わり、それまで以上に深くファッションにもハマっていきました。
ー当時のUNIONをどのようなショップだと捉えていましたか?
ひとことで言えば、ユースカルチャーの中心地。私が高校時代にオープンしましたが、いつも他では出会えないフレッシュなモノが手に入る場所でした。思い出もたくさんありますし、私にとっては本当に特別な場所。クラブハウスのようでもあり、仕事を通してたくさんの友情やインスピレーションが生まれ、それがまた仕事に力を注ぐことに繋がるという、とてもポジティブなスパイラルが生まれていましたね。
ーCHRIS GIBBSと初めて出会った時の印象を教えてください。
CHRISと最初に会ったのは、LAにショップができる前のUNION NYだったと思います。ショップに立ち寄ったらCHRISがひとりでいたんですが、めちゃくちゃ不愛想でしたね(笑)。だけど自分から挨拶すると、BOBITTOがDJする高級ナイトクラブの招待状をくれたんです。第一印象では、まさか彼がそんなにフレンドリーでナイスガイとは思えなかったので、驚きましたね。
ーCHRIS GIBBSとはどんな人間ですか?
CHRISは本当にナイスガイ。もちろん不機嫌なこともあるけど(笑) 、それを特定の誰かにぶつけるようなことはありません。彼と一緒に仕事して、もうかれこれ20年。今ではストリートウェアのレジェンドになりましたが、私にとってCHRISはいつもCHRISであり、友人としても仕事仲間としても、業界の中で最高の人間のひとりだと思います。コマーシャル(商売)的にはベストでない場合でも、様々な角度から思慮を巡らせ、少しでも価値のあるモノにしようと努力する彼の姿勢からは、本当にたくさんのことを学ばせてもらっています。
ーCHRIS GIBBSとの思い出やエピソードを教えてください。
色々ありますが、初めてCHRISと日本に行った時に、温泉へ連れて行ってもらったことはよく覚えていますね。東京から車で90分くらいのところで、日本人のおじいちゃんたちと、みんなで一緒に裸になって。CHRISは「東京に来た時はいつもここに来るよ。温泉が好きなんだ」と言って、とてもリラックスしていましたね。
ー日本について、どのような印象を持っていますか。
日本は大好きな国のひとつで、特に東京には毎年でも行きたいですね。最初に東京へ行ったのは2005年。CHRISと一緒にUNIONのバイイングで行ったのですが、同時にSTÜSSYの25周年イベントもあったんですよ。あの時はEDDIE(CRUZ)のおかげでイベントにも参加させてもらえました。ありがとうEDDIE!
それと2019年には6週間、家族で日本に行きました。1カ月間は渋谷に家を借りて、2週間は日本全国を回ったんですが、最高でしたね。子どもは今でもその時の話をしますよ。早くコロナが収まって、また行けることを楽しみにしています。
ーReal Bad Manのコンセプトや、どのような想いでクリエイティブに取り組んでいるのか教えてください。
Real Bad Manは、私自身が影響を受けた様々な事柄から生まれたヘビーなデザインのブランド。クラウトロックやコメディ、90年代のストリートウェアなどを融合させながら、現代性と普遍性を兼ね備えたクリエイティブを目指しています。
ー今後予定されている30周年のコラボレーションに至った経緯を教えてください。
CHRISが「30周年に何かやらないか」と聞いてきたので、当然、「やりたい」と応えました。UNIONは私の人生の一部ですし、そのアニバーサリーに参加できることは、とても光栄です。
ー今後予定されている30周年コラボアイテムのデザインについて教えてください。
30年前のUNIONにインスパイアされたモノを作りたいと思いました。当時のUNIONのロゴを反転させたり、ぼかしたりして。もちろん今でも大好きですが、その時代のUNIONは、自分の人生の中でも本当に特別な存在でしたからね。ナチュラルでいながらも超フレッシュ。知る人ぞ知る会員制クラブのようでもあり、私にとっては単なるショップではありませんでした。だから今回のコラボレーションでは、そういった部分に敬意を払って取り組みました。
ー今後のUNIONに期待することは?
UNIONがこれからも成長し続け、これまで以上に世界に広まっていくことは、間違いないと思っています。UNIONは、現在のストリートウェアのパイオニア。初めてNYにSTÜSSYを持ってきたのもUNIONであり、UNIONが無ければSUPREMEも無かった。つまり、すべての始まりということです。
ー最後に、UNIONとCHRIS GIBBSにメッセージをお願いします。
支え続けてくれてありがとう。友情に感謝しています。これからも頑張ってください!
Union is everything
squeeze em!
ADAM WEISSMAN